■バッテリーの分類と特長 |
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鉛バッテリーには大きく分けて電極の種類により4つのタイプがあり、それぞれ特
長があります。一般的には高価なバッテリーが良いといわれますが2年間程度の使用であれば、ローコストなバッテリーでもほとんどの場合は問題はありませ
ん。 |
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▼アンチ
モンバッテリー |
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従来からある最もポピュラーなバッテリーで一
番ローコストですが、MF特性※は他のタイプのバッテリーに比べあまり良くありません。 以
前は多くの車両に搭載されていたバッテリーですが、現在は小容量又は大容量のもの以外は国産品はほとんど販売されていません。大容量のバッテリーはほとん
どこのタイプです。 |
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▼カルシ
ウムバッテリー |
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MF特性を向上するために電極(正
極・負極)にカルシウム合金を使ったバッテリーで、ほとんどの国産車に使用されるバッテリーです。カー
ショップやガソリンスタンドなどで多く販売されているバッテリーです。 自己放電が少なく電解液の蒸発が少ない特徴があり長寿命です。また、一般的なタイプと高寿命なタイプがありますが、価格による判断はしにくいので、補償期 間、補償距離等で判断すると良いでしょう。(高価なものを購入しても短期間では性能の差異はほとんど感じられませんが、寒冷地や長期間使用しない状況では違 を感じます) |
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▼ハイブ
リットバッテリー |
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ハイ
ブリット(混成)タイプのバッテリーは正極にアンチモン(Sb)合金、負極にカルシウム(Ca)合金エレメントを使
用することにより、アンチモンタイプ
の大電流・ローコストとカルシウムタイプの長所を取り入れたバッテリーです。
業務用車両や大型車、建設機械など過酷な状況にも耐えるコストパフォーマンスの高いバッテリーです。寿命やMF特性はカルシウムタイプにやや劣ります。 |
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▼シール
(密閉)タイプバッテリー |
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MF特性に優れたバッテリーで、カルシウム合金の電極を使い、ガ
ラスマットなどに電解液を浸透させ更に漏れを防ぐため二重構造にした容器を使うなど性能・安全性を考慮した優れたバッテ
リーです。 液漏れがほとんどない長所があります。 電解液の蒸発がないため補液出来ない構造となっているためメンテナンスは不要です。しかし、状 態が管理できないことで突然寿命となる欠点もあります。(高温環境では寿命は短くなります) |
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NOTE! |
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※MF特性とは---電解液の減少や自己放電率等
の特性を総合的に考慮したもの ※なぜ電極にカルシウム合金を使うと性能が向上するか?---鉛バッテリーは電極に鉛を使い電解液として希硫酸 を使用し使っています。しかし、鉛は柔らかく溶けるのでアンチモンを入れ溶けにくくしています。これをアンチモンバッテ リーと呼びます。また、放電(電気分解)と充電(硫酸化=サルフェーション)をするとき電 極に硫酸鉛の結晶が 付着(一般的にはこの現象をサルフェーション云っています)するため、導電性が悪くなり電 圧降下や充電低下が起き、やがて結晶化の進行や電極物質の脱落等で寿命となリます。 カルシウム 合金電極ではこれらの化学反応(結晶化等)を遅らせることが出来るため電解液の減少も抑えられ長寿命を実現しています。また、化学反応が遅くなるため自己 放電も 少なくなります。 |
◆特長(性 能等比較) |
分
類(タイプ) |
寿
命 |
自
己放電 |
液の減少 |
価
格 |
始
動性 |
そ
の他 |
ア
ンチモン〈鉛) |
2年 |
多い |
多い |
安
い |
普通 |
他のタイプに比べ上がりやすい ローコスト、大電流が取り出せる |
ハイブリット | 2〜3年 |
普通 |
少ない |
やや高い |
良い |
カルシウムに比べやや劣るが安価なのでコストパフォーマンスが良い |
カルシウム | 3〜4年 |
少ない |
多少 |
高い |
良
い |
アンチモン、ハイブリットに比べ
高価だが全体的に優れている標準的なバッテリー |
シール(密閉) |
3年 |
少ない |
多少 |
一
番高い |
良
い |
完全メンテナンスフリーのため管
理が不要。ただし、突然寿命になることもある |
◆選定にあたって(当 社での選定基準) ◎優れている 〇良い △やや劣る ×悪い −必要なし |
使
用者・環境による分類 |
アンチモン 〈鉛) |
カルシウム |
カルシウム 高級品 |
シールド (密閉) |
|
時
々メンテナンスする(スタンドを含め) |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
− |
定期メンテナンスのみ |
〇 |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
1ヶ月に一度以上乗車する | ◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
2〜3ヶ月に一度乗車する |
△ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
数ヶ月に一度乗車する |
△ |
〇 |
◎ |
◎ |
◎ |
2年程度で交換する |
◎ |
◎ |
◎ |
− |
− |
3年程度で交換する |
△ |
〇 |
◎ |
◎ |
◎ |
4年程度で交換する |
× |
× |
△ |
〇 |
△ |
悪路走行、急発進・急加速が多い場合 |
〇 |
〇 |
〇 |
〇 |
◎ |
停車・発進等業務用車両 |
◎ | ◎ | ◎ | 〇 | △ |
高温使用 |
◎ |
◎ |
△ |
◎ |
〇 |
価格(倍) アンチモンを1とした場合 |
1 |
1.5〜1.8 |
2〜3 |
3〜4 |
4〜6 |
※
選定にあたり上記を参考とした場合 アンチモンタイプ(Sb)は乗用車用国産品ではほとんどありません! 乗用車ではカルシウム(Ca)のオーブンベントタイプ又はシールタイプが最適! タクシー・バンなど始動・停止が多い車両ではハイブリットタイプ又はカルシウムタイプが最適! トラックや大型車両はアンチモン又はハイブリットバッテリーが最適! また、悪路走行、急発進・急加速が多い場合はシールドタイプが最適です。 ※現在、一般に乗用車用に販売されているバッテリーのほとんどはカルシウムタイプのバッテリーです。 |